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「神奈川県獣医師会学術症例報告会」で最優秀賞を受賞!

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「神奈川県獣医師会学術症例報告会」で最優秀賞を受賞!/2005年05月18日号

  • 2005年3月に行われた神奈川県獣医師会学術症例報告会で、当院から報告した 「肥大性胃症を併発した副腎皮質機能亢進症の犬の1例」が、最優秀賞を受賞しました。 5月31日の神奈川県獣医師会総会で表彰状を受け取る予定です。この報告は関東獣医師会三学会にエントリーされ、 今年の開催地、横浜で発表することになります。
  • 2005年5月 神奈川県獣医師会学術症例報告会
  • マーブル動物病院からの演題
  • 肥大性胃症を併発した副腎皮質機能亢進症の犬の1例
  • 難波信一 日比佐知子 大沼和気子 土屋典和 マーブル動物病院・神奈川県藤沢市
  • 肥大性胃症を併発した副腎皮質機能亢進症の犬の1例
  • 難波信一 日比佐知子 大沼和気子 土屋典和
  • Tはじめに:
  • 犬の副腎皮質機能亢進症(HAC)は、中年齢から老齢の犬でよくみられる疾患であり、下垂体性(PDH)、副腎腫瘍(AT)、医原性等に分類される。いっぽう、胃の流出障害とは、幽門洞や幽門領域に発生した胃内腔の異常に起因した状態を指し、特に幽門部分の平滑筋層が肥厚したり、粘膜が過形成したものを肥大性胃症と呼ぶ。今回、肥大性胃症を併発した副腎皮質機能亢進症の犬に遭遇したので、その概要を報告する。
  • U症例:
  • 症例はシーズー、去勢済みの雄、9歳5カ月齢であり、ワクチン、フィラリア等の予防は完全に行われていた。主訴は、「おなかが膨れている」「水をよく飲み、オシッコが大量に出る」「食べても吐く」であった。身体一般検査では、体温38.6度、心拍数120bpm、呼吸数48回/分であった。体重は3.72kgで、Body Condition Score(BCS) は2-3/9と削痩しており、重度の腹部膨満が認められた。
  • V治療および経過
  • 来院時(第1病日)に血液検査、尿検査、X線検査を行い、血液検査異常として、ALT、ALP の上昇、好中球の増加が認められた。尿検査では比重を含めて、特に異常は認められなかった。腹部単純X線検査では、肝臓の腫大ならびにガスと液体を含んだ重度の胃拡張が認められた。来院5カ月前から、食欲はあるものの、嘔吐と排便量の減少が持続しており、第1病日より液体状ならびにペースト状の高栄養食を給餌した。また、胃の排出を促進し、嘔吐をコントロールする目的で、メトクロプラミドの投与を開始したが、改善は認められなかった。第7病日、副腎皮質機能亢進症を評価するためにACTH刺激試験を行った。刺激前のコルチゾール値41.0ng/ml、刺激後316.29ng/mlと顕著な上昇を認めたことより、副腎皮質機能亢進症と判断した。HACが確定したため、トリロスタンの滴定投与を開始した(現在11.6mg/kg, sid)。第14病日、PDH と AT を鑑別するために、高用量デキサメサゾン抑制試験を行った。その結果、デキサメサゾン投与前61.3ng/ml、投与4時間後6.2ng/ml、8時間後18.3ng/mlであり、PDH と確定診断した。
  • 第20病日、初診時から継続している腹部膨満は、HACのみに由来するものではなく、ガスと液体による胃拡張も関連していると強く疑われていたため、胃の通過障害を確認する目的で、ガストログラフィンによる消化管造影を行ったところ、幽門部の狭窄による胃の流出路障害と判断できた。翌日、単純な Heineke-Mikulicz 法による幽門形成術を実施した。幽門形成術を行った後、胃の排出は改善され、食欲ならびに排便は正常化した。
  • 現在、幽門部の狭窄は改善されており、体重も増加しており、全身状態は極めて良好である。また、HACの治療は継続中であり、徐々にではあるが、多飲多尿、多食といった症状は改善の傾向にあり、ACTH 刺激後のコルチゾール値も低下しつつある。なお、現在の BCS は 4/9 である。
  • W考察:
  • 本例を含め、当院で HAC に幽門部の狭窄が併発していた症例は、去年1年間だけで3例である。HACと筋肉という観点からみると、側頭筋をはじめとした骨格筋の萎縮との関連性は報告があるが、平滑筋との関連性についての報告はない。両者に関連性があるのか、独立した疾患の併発であるのかを判定するには、さらに症例を重ねる必要があると思われる。
  • また、臨床症状は改善されているものの、ACTH 刺激試験の結果からは、現在のトリロスタン投与量を増量する必要があると思われる。

マーブル動物病院院長
難波 信一

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