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シニアペットとのお付き合い /2006年01月21日号
- 犬や猫の平均寿命は今や14?15歳。
- 動物医療が発展、一緒に暮らす環境がずいぶん改善されたこともあり、人間と同じように、犬や猫の寿命も急激に伸びています。
■まずは、シニアペットの体の変化を理解すること
- 年を重ねると、いろいろな部分の機能が低下してくるのは人間も犬や猫も同じです。
- 老化が進むとペットたちにどのような体の変化が起こるかをしっかりと分かってあげて、ペットが心地よく暮らせるように工夫してあげましょう。
■「痛い!」とは言えないけど、足腰が痛いのは人間と同じ
- 人間と同様にペットも長く生きている間に、関節の軟骨がこすれて関節が痛くなったりしてきます。
- その結果、神経が過敏になって痛みを感じることもあります。声にこそ出して「痛い」とはいいませんが・・・。
- 愛犬や愛猫の様子をみて、足をひきずって歩くようになっていたら、これはずいぶんひどい状態になっています。
- 日ごろから、足の運び具合や、階段などの登り降り、歩くのを億劫がったりしないかをよくチェックしてみるようにしましょう。
- 「いつもと違う、異常がある」と感じたら獣医師にご相談下さい。 ある程度の運動は大切ですが、足を痛がっている時に、無理に歩かせたり、散歩させるのは避けること。
- また、肥満は大敵。
- 足腰に負担をかけることになるので、太りすぎにさせないように気をつけてください。
■ 運動量が減って、代謝も低下。カロリーオーバーに要注意!
- 若いころに比べ運動量が減ってくるのは自然なことです。
- また、体の機能が低下するので新陳代謝も落ちてきます。
- このように体のしくみが変わってきて、消費するエネルギー量が減っているにもかかわらず、 若いころと同じ食餌を同じ量を与えていては、当然カロリーオーバーになってしまいます。 太らない体質の犬や猫でも、カロリーオーバーの日々が続けば肥満になってしまいます。 エネルギーの消費量をあげるために、毎日できるだけ無理のない散歩や遊びをして、適度な運動をさせるように心がけてカロリーを考えた食餌を与えるようにしてください。
- そしてシニア用のペットフードに少しずつ切り替えていったり、温野菜などを混ぜてカロリーの調整をするのもいいですね。
■ 愛犬愛猫にも“現代病”の波。特に気をつけたい糖尿病」
- 最近、シニアペット、特に犬に目立って増えてきているのが、現代病といわれている糖尿病です。
- 人間と同様に、食生活の変化に伴って犬や猫にも糖尿病が増えているのです。
- 毎日の暮らしのなかで、急に水をたくさん飲むようになったり、いつも体をだるそうにもてあましているようなら、獣医師にご相談下さい。
- 糖尿病は、症状がひどくなると毎日インシュリンの治療をしなければならなくなります。
- 重症になると死に至る怖い病気なので、年に1?2度は健康診断を受けてチェックをおすすめします。
- また、猫の場合は、腎臓病にかかりやすいので、小さい頃から塩分の多い食べ物に慣れさせないようにすることが大切です。
■ 目が見えなくなっても仕方がない。見えないことを察してあげよう
- 目の中の水晶体が濁ってくるのが白内障です。
- 病名のとおり目の中が白く濁ってくるもので、年齢を重ねれば、多少の差はあっても遅かれ早かれ症状が現れるものです。
- 白内障は「老化」という変化のなかでは自然な状態なので、重症になった場合は手術をする場合もありますが、一般 的には、点眼薬で進行を抑えるくらいの治療しかありません。
- 水晶体が濁ると目が見えにくくなります。
- 散歩の時や室内でも障害物が見えにくくなるので、気をつけてあげるようにしてください。
- 特に家の中で階段から落ちたり、家具にぶつかりやすくなるので配置に注意してあげましょう。
- これまでは、投げたボールをめざとく見つけて持ってきた愛犬たちも、目が見えにくくなって見つけられなくなったりします。
- 見えやすいところにボールを投げたりあげたり、いつも「よく見えていないのかも」と思いやって接してあげてくださいね。
■ 耳が遠くなり、呼んでも無反応。自慢だった鼻もきかなくなる
- 年を重ねた犬や猫は聴覚が低下し、呼んでも振り向かなかったり、反応しなかったりということが増えてきます。 若いころには、どんな小さな音も聞き逃さなかった猫が、大きな音がしても驚かなったり、大きな声でおこっても無反応だったり。 聞こえないのかもしれない」と、ペットのことを思いやって、接してあげることを忘れないでください。
- そして、犬の優秀な感覚のひとつである嗅覚も低下してきます。
- かなり高齢になると、食餌のニオイがわからなくて、食餌を自分で食べることができないということもあります。 ニオイがわからないだけに、食べ物以外のものを食べてしまうこともあって危険です!
- 散歩の時に、外に落ちているものを口に入れないよう、室内でも食べてしまいそうなものは、目につくところに置いておかないよう、 くれぐれも注意してあげましょう。
■ おもらし、トイレの失敗
- 高齢になるとおもらしをしたり、決められた場所でトイレをしなかったり、失敗することがちょくちょく出てきます。 これまで一度も失敗したことがない愛犬でも、いつかはそんな日がやってくるものです。 そんなときは、決しておこったりしないでくださいね。老化が進むため、自然にそうなってしまうだけのことです。
- 特に猫は、腎臓の病気にかかることが多いので、年をとったらトイレを近くに置いていつでも使えるようにしてあげましょう。
- 犬の場合は、おもらしをするようなら、おむつなどを心地よい状態にしてあげればいいことです。
- 年をとっても家族と一緒に、これまでと同じように幸せな毎日が過ごせるように、ペットの身になって対応してあげてください。
マーブル動物病院院長
難波 信一