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平成18年度関東地区獣医師大会・三学会(関東)で発表しました

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平成18年度関東地区獣医師大会・三学会(関東)で発表しました。
/2006年09月14日号

  • 犬と猫のパルボウイルス感染症に対するリン酸オセルタミビルの効果
  • 難波信一1,2  大沼和気子1 小笠原静香1 桑原 岳1 伊藤典子1   尾上 翠1 小泉哲郎1
    1)マーブル動物病院 2)日大獣医臨床繁殖学研究室
  • T.はじめに
  • パルボウイルス感染症は、2,3ヶ月齢前後の若齢犬時に発症した場合、致死率が極めて高いため、有効な治療法の開発が望まれているところである。現在、猫インターフェロン、新鮮凍結血漿(FFP)輸血、凍結血漿(FP)輸血、抗生物質、ステロイド剤、輸液などが用いられるようになり、救命率が改善されたとは言うものの、未だパルボウイルスに感染した若齢犬の生存率は10%前後に留まっているのが現状である。今回、我々は米国の獣医師から得られた情報をもとに、犬パルボウイルス感染症に対してリン酸オセルタミビルを経口投与したところ、臨床症状の改善と治癒率が飛躍的に向上したことから、その概要について報告する。
  • U.材料および方法
  • 2004年12月から2006年7月の間に来院し、パルボウイルス感染症と診断した4ヶ月未満の若齢犬29頭、成猫3頭に対して、従来から行っている治療法に加えて、リン酸オセルタミビル(タミフルR 中外製薬)を2.2mg/kg BIDで5-7日間経口投与した。診断は、臨床症状、経過、チェックマンCPVR(共立製薬)をもとにして行った。尚、ワクチン接種後のウイルス排泄期間であっても、臨床症状が合致していれば、パルボウイルス感染症として治療を開始した。
  • V.結果
  • パルボウイルス感染症と診断した若齢犬29頭中27頭(93.1%)、成猫3頭中3頭(100%)が回復後生存しており、現在まで良好に経過している。死亡した犬2頭は、来院時に虚脱状態であり、嚥下がほとんどできなかったため、リン酸オセルタミビルを規定量投与できなかった。尚、いずれの犬猫にも薬剤が原因と思われる副作用は認められなかった。
  • W.考察
  • パルボウイルス感染症の確定診断に関して論議の余地はあるものの、リン酸オセルタミビル使用以前に来院した幼犬と成猫と比較した場合、リン酸オセルタミビル使用以降の臨床経過、治癒過程ならびに予後は飛躍的に改善されている。しかしながら、実際にパルボウイルスはノイラミニダーゼを持っていないとされており、リン酸オセルタミビルがどのような機序で作用しているかは不明である。また、ヒト医学ではリン酸オセルタミビルによる乳幼児の死亡例が報告されており、体内動態の個人差が原因であるとされている。若齢の犬と猫でも同様の事態が推測されることから、最適投与量、作用機序、副作用等に関しては、更なる基礎研究、臨床研究が待たれるところである。しかしながら、現在までのところ、投薬による短期、中期的な副作用ならびに障害は認められておらず、この薬剤を使用しない場合のパルボウイルス感染症による致死率を考えると、効果的な薬剤であることは明白である。従って、リン酸オセルタミビルは犬と猫のパルボウイルス感染症に対して、極めて有効な治療薬となる可能性があると結論づけられる。補足として、現在までに、犬ジステンパーウイルス感染症、猫伝染性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎、猫免疫不全ウイルス感染症、猫ウイルス性白血病への投与を行ったが、有用な結果は認められていない。
  • 骨に発生した犬の血管肉腫の一例
  • 伊藤典子1、大沼和気子1、小笠原静香1、桑原 岳1、難波信一1,3、   市村豊2
    1)マーブル動物病院、2)市村動物病院、3)日大獣医臨床繁殖学研究室
  • 1. はじめに
  • 血管肉腫は悪性度の高い血管内皮細胞の腫瘍である。この腫瘍は他の動物種に比較すると、犬での発生報告が多く、また腫瘍と診断された犬全体の約2%を占める。どの臓器にも発生する可能性があるが、犬では脾臓原発の報告が一番多い。他の原発部位には、右心房、皮膚、皮下組織、肝臓が挙げられ、まれに骨、中枢神経、腎臓、膀胱、筋肉、口腔内などにも発生する。今回、骨に発生した血管肉腫の症例に遭遇したのでその概要を報告する。
  • 2. 症例
  • 症例はシェットランドシープドッグ、8歳齢、体重13.15kg、去勢済み雄である。他院より骨の悪性腫瘍が疑われるとのことで当院に紹介来院した。来院時、右側前肢の腫脹と跛行が認められた。X線検査では、右橈骨遠位部で結節性の骨濃度の低下と骨増殖が認められたため、骨バイオプシーを実施した。
  • 3. 経過
  • 第3病日に実施した骨バイオプシーによる組織病理学検査の結果は、骨の増生所見のみであり、炎症性変化ならびに腫瘍性変化は認められなかった。対症療法として、カルプロフェン、ミソプロストール、オルビフロキサシンを処方したところ、疼痛は容認できるまで軽減したということであった。しかしながら、第31病日目には、再び跛行と疼痛を主訴に来院したため、カルプロフェンを増量したが、跛行の程度はさらに進行し、第91病日には右前肢に極度の腫脹が認められた。細胞診を実施したところ、病変部からは血様の液体が継続的に抜去できたため、右橈骨遠位部の骨増生に起因する動静脈断裂と診断し、圧迫包帯で止血した。しかし、その後も出血はおさまらず、また激しい疼痛と腫脹がコントロール不能であったことから、第120病日右前肢断脚術を実施した。術前の血液検査ではPT時間が11.7秒と軽度に延長、フィブリノーゲンは50mg/dlと減少していた。また、術前の胸部X線検査では転移像等の異常は認められなかった。摘出した右橈骨は結節状に著しく骨増生し、髄腔は空洞化していた。断脚後はアンピシリン、エンロフロキサシン、トラネキサム酸で治療して順調に経過し、術後3日目には凝固系検査も正常に回復した。病理組織学検査の結果血管肉腫と診断されたため、術後27日目よりアドリアマイシン30mg/m2 3週間毎の抗癌剤プロトコールを使用した。4回目の投与までは、副作用なく経過したが、その後飼主の希望により投与を中止した。術後177日目、起立不能を主訴に来院し、超音波検査から転移病巣に起因すると思われる血液の腹腔内貯留が認められた。術後207日目、自宅にて死亡した。
  • 4. 考察
  • 骨の原発性肉腫で最も多いのは、骨肉腫であり、血管肉腫はまれである。さらに、骨に発生した血管肉腫の後発部位は、近位上腕骨、大腿骨、肋骨および椎骨であり、今回のように橈骨遠位部での発生は非常に稀である。術後の中央生存期間は5ヶ月以下と報告されてはいるものの、症例数が限られている。また、安楽死される場合が多く、腫瘍摘出後の経過ならびに化学療法の効果に関する報告はほとんどない。今回の症例では、術後約6ヶ月間にわたって、転移もなく良好に経過したが、化学療法については疑問の残る結果となり、今後の更なる研究に期待したい。

マーブル動物病院院長
難波 信一

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