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神奈川県獣医師会学術症例発表会

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神奈川県獣医師会学術症例発表会 /2011年05月22日号

3月10日に開催された神奈川県獣医師会学術症例発表会にマーブル動物医療セン ターから5題の発表を行いました。そして、別府雅彦獣医師が発表した「前・後 十字靭帯断裂に内側半月板損傷を併発した猫の一例」が最優秀賞を受賞しました。

犬の脾臓に発生した線維組織球性結節の4症例に関する臨床検査所見

  • ○松原奈美1) 井坂光宏1) 桑原岳1) 荒瀬由梨恵1) 高橋洋介1) 別府雅彦1) 難波信一1)
    1)マーブル動物医療センター・神奈川県藤沢市

I.はじめに

犬の脾臓に発生する疾患には、非腫瘍性病変として血腫や結節性過形成、また腫瘍性病変として、 血管肉腫等が挙げられる。この中で、線維組織球性結節が犬の脾臓に発生することは稀であり、良性から悪性の経過を辿ると言われている。 文献上はグレード分けまでされているものの、これまでに臨床的な検討を行っている報告は少ない。 そこで、われわれは当施設において線維組織球性結節と診断された犬の臨床検査所見を検討したところ、いくつかの知見が得られたので報告する。

II.材料及び方法

1999年1月から2010年12月までの11年間に、当施設にて脾臓摘出術を行い、 病理組織検査の結果が得られた犬41例のうち、線維組織球性結節と診断された犬4例の医療記録について、 血液検査(完全血球検査と血液生化学検査)、腹部超音波検査、CT検査所見について検討を行った。

III.結果

犬41例のうち、線維組織球性結節と病理診断されたのは4例(9.8%:雄3例、雌1例)であった。 発症年齢は平均10歳3ヵ月(範囲5歳6ヵ月〜13歳1ヵ月)であり、グレード1が1例、グレード2が3例であった。 グレード1では、臨床症状、血液検査ともに異常は認められなかったが、 グレード2では食欲減退、元気消失等の臨床症状、貧血(3/3:100%)、血小板減少(3/3:100%)、CRPの上昇(3/3:100%)、グロブリンの上昇(3/3:100%)、リウマチ因子陽性(2/3:67%)といった血液検査異常が認められた。腹部超音波検査ではグレードにかかわらず、全ての症例に腫瘤性病変が検出されたが、腫瘤が大型の場合には脾臓との連続性の検出が困難であった。しかしながら、CT検査では、腫瘤の大きさにかかわらず、脾臓との連続性は容易に検出できた。また線維組織球性結節は脾臓実質と同程度のCT値を含む不均一で単一の腫瘤状病変として描出されていた。グレード2の1例は、脾臓破裂による重度の腹腔内出血が来院時に認められ、全身状態悪化のため死亡した。他の3例(グレード1:1例、グレード2:2例)の術後は良好であり、現時点での生存日数は350日を超えている。3例中2例は現在も追跡中であり、転移所見等は認められていない。

IV.考察

貧血や血小板減少、CRPの上昇、グロブリンの上昇が認められた場合、 血管肉腫、血腫、結節性過形成に線維組織球性結節を鑑別診断に含めるべきであると思われた。さらに線維組織球性結節グレード2ではリウマチ因子に陽性を示す傾向があり、線維組織球性結節を診断する一助になると考えられる。これらの血液検査異常が認められた症例に対して腹部超音波検査を行い、脾臓の腫瘤性病変の有無を確認し、腫瘤が認められた場合には脾臓全体像を把握する意味からもCT検査を行った方が良いと考えられる。CT検査では造影後の脾臓実質と腫瘤内のCT値を比較することで、線維組織球性結節と他の腫瘤性病変との鑑別が可能であることが示唆された。今回の調査結果より、腫瘤の大きさや程度、総合判断、ならびに術前評価を行う上でCT検査は最も有用であると考えられた。

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