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神奈川県獣医師会学術症例発表会

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神奈川県獣医師会学術症例発表会 /2011年05月22日号

3月10日に開催された神奈川県獣医師会学術症例発表会にマーブル動物医療セン ターから5題の発表を行いました。そして、別府雅彦獣医師が発表した「前・後 十字靭帯断裂に内側半月板損傷を併発した猫の一例」が最優秀賞を受賞しました。

未分類型仙骨骨折が疑われた犬の一例

  • ○井坂光宏1) 高橋洋介1)桑原 岳1)荒瀬由梨恵1) 別府雅彦1) 松原奈美1) 難波信一1)
    1)マーブル動物医療センター・神奈川県藤沢市

I.はじめに

一般的に骨盤骨折は小動物の外傷に起因しておこり、全骨折の20-25%との報告があり、 特に、犬の仙骨骨折は珍しく、交通事故による体軸骨折の95例の犬のたった3%のみ仙骨骨折であったとの報告がある。 また、仙腸関節脱臼は23%が両側で発生するため、仙骨骨折と仙腸関節脱臼の併発例は非常に珍しいと考えられる。 今回、我々は仙腸関節脱臼に反対側の1型、2型の仙骨骨折とは異なる未分類型仙骨骨折が疑われた若齢犬に遭遇したので報告する。

II.症例

11ヶ月齢、体重6.6kg、去勢済、ペキニーズ。交通事故のため来院。 完全血球計算、血液生化学検査、腹部超音波検査ならびに全身の単純レントゲン撮影(全身スクリーニング)を実施し、 血液検査で、C反応性蛋白(5.6 mg/dl)、 Asparatate Aminotransferase 173 U/L、Creatine kinase 6178 U/Lを認めた。また、単純レントゲン検査では、左側の仙腸関節脱臼、右側仙骨骨折(2型と推測)、両側の坐骨ならびに恥骨骨折と診断し、 尿道カテーテルを設置した。翌日のComputed Tomography (CT)検査では、レントゲン検査同様左側の仙腸関節脱臼、 右側仙骨骨折(未分類型:仙腸関節面を一部含んだ骨折)、両側坐骨ならびに恥骨骨折を確認した。

III.処置および経過

全身麻酔下にて、両側の仙腸関節に対し背側アプローチを実施し、 右側仙骨骨折に対しては2.7 mm×30mmラグスクリューおよび1.25mmのキルシュナーワーヤー、左側仙腸関節脱臼に対しては2.0mm×28mm と2.7mm×28mmのラグスクリューを使用し整復した。 その後、運動制限目的としゲージレストおよび足かせ固定を2週間実施した。 尿道カテーテルは術後3日目で除去し、その後排尿を促すためにベタネコール5mg/kg bidを8日間投与した。在院日数は37日で特に神経異常も認めず、 術後51日目には後肢機能は回復した。 現在、術後450日以上経過しているが、排便・排尿も問題なく、後肢機能は正常で経過は良好である。

IV.考察

仙骨骨折は獣医学領域では1997年に報告された分類が一般的で、 1型は仙腸関節脱臼を伴う仙骨翼骨折、2型は仙骨翼骨折、3型は仙骨尾側の横骨折、4型は仙結節靱帯付着部の骨折、 5型は仙骨翼と仙骨尾側の複合骨折と5型に分類されている。 V型が犬猫では最も多く、外科的整復が必要となるのは通常、1型、2型、そして5型と考えられ、この3種類で仙骨骨折の約半数を占める。 今回経験した症例は、左側仙腸関節脱臼に右側仙腸関節面を含む仙骨骨折を併発したと考えられ、 CT検査では仙骨骨折分類では1型、2型ともに異なると考えられる。 犬の仙骨骨折にする単純レントゲン撮影の診断精度は約81%、感度は約48%との報告があり、 単純レントゲン撮影では非常に感度が悪いことが分かっている。 今回、単純レントゲン撮影時点では、2型の仙骨骨折と診断したが、CT検査を実施後に未分類型仙骨骨折疑いと思われたため、 既存の報告同様、仙骨骨折の確定診断にはCT検査が非常に有用と考えられた。 また、この術前の確定診断が今回の良好な治療経過を示していると考えられた。

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